ペルシャキリム・織り方

均等織り

縦糸・横糸の両方が表面に出た平織りの技法で、縦糸に横糸をやわらかく入れていくもの。スィスィム織り・ズィリ織りによく見られる。
ペルシャキリム 織り方 均等織り

平織り

日本では「つづれ織り」とも呼ばれる最も基本的な技法。縦糸に横糸を交互に通して上から押し付けるので、縦糸は隠れ、横糸だけが見える仕上がり
ペルシャキリム 織り方 平織り

スリット織り

色を変える時に使われる代表的な織り。糸の端を縦糸に巻き込むことで色を変える。糸を巻き込んだ時に、短い切れ目ができる。この技法で織ったキリムは、ほとんどがリバーシブル。
ペルシャキリム 織り方 スリット織り

つなぎ織り

色が変わる部分に切れ目を出さない織りで、色のつなぎ目が繊細に仕上がる。1本の縦糸に2本の横糸が通っているのが特徴。

ペルシャキリム 織り方 つなぎ織り

ダブルつなぎ織り

バクティアリ族が織るキリムによく見られる技法で、切れ目が出ない技法。横糸同士を重ねて接合することで強い織りとなる。リバーシブルではなく裏表のある仕上がりとなる。

ペルシャキリム 織り方 ダブルつなぎ織り

曲線織り(T)

横糸に別の糸を差込み、カーブを作る技法。横糸は別の糸が通りやすいよう凹凸に織る。連続模様・装飾が表現できる。

ペルシャキリム 織り方 曲線織り

曲線織り(U)

短めの横糸を追加して織り込む技法。波や円形の形を作ることが出来る。流れるような花の文様によく使われる。
ペルシャキリム 織り方 曲線織り

ジャジム織り

横糸1本に対して数色の縦糸で織る技法。テントバンド・装飾された細長いキリムなどに使われる。数枚をつなぎ合わせて大きいサイズにした物もある。
ペルシャキリム 織り方 ジャジム織り

スィスィム織り

均等平織りや平織りに数種の色の糸を追加して刺繍のように横糸を浮かびあがらせる技法。この織りのキリムは軽いため、カーテン・家具・暖炉のカバーとして使われる。
ペルシャキリム 織り方 スィスィム織り

ズィリ織り

スィスィム織りに似ているが、縦糸を3〜5本をひとまとめにして、横糸を追加して行く技法。水平・斜めなど様々な模様が出来る。
ペルシャキリム 織り方 ズィリ織り

ソマック織り

横糸が残っている地織りに新しい横糸を巻き込んで行く技法。縦糸2本に横糸を折り返しながら絡めて織り進めるのが基本。強く重厚なキリムが出来る。片方だけ絡める技法と両面絡める技法がある。
ペルシャキリム 織り方 ソマック織り ペルシャキリム 織り方 ソマック織り

有名産地・部族

 ペルシャキリムは産地だけでなく、部族によって違いが見分けられるため、多くのキリムが部族・遊牧民の名で呼ばれています。長い歴史の中で住む場所が違っても、同じ部族であれば、多くの共通点があります。これはペルシャキリムが他国のキリムと比べて商業化されていないため、各部族や産地の特徴が失われずに織られているからということでしょう。
 産地・部族について、詳しくはこちら

織り方

特徴としては、図面がないことです。キリムを織る前に、予めデザイン・色合いを決めておかなければいけません。また、遊牧による生活様式のため、サイズは携帯できる大きさで、染料も僅かでした。基本の平織りから始まり長い歴史の中で様々な技術が生まれ、徐々に織りの細かいより複雑な模様のキリムが生まれ、世界中のコレクターの心を惹きつけてやまないアイテムとなり得たのです。
キリムの織り方について詳しくはこちら

染色

染色作業は、「この色が無ければこのデザインもない」と言われる程、極めて重要です。染色の技法は、責任者が所有し、厳重に保管され、世代から世代へと受け継ぐ門外不出の家宝の様なものなのです。色に色を、調合に調合を重ね、幅広い色彩を生んで来ました。
使われる天然染料の材料は、植物の根・花・葉・果実・樹皮、鉱物、動物等です。人工染料に比べ天然染料は、均一に着色するのに優れ、変色しません。
天然染料のについて詳しくはこちら。 

デザイン

キリムにあるデザインは、自然の恩恵を受けている遊牧民の歴史から、身近にある自然や動物などがデザインの元になっています。写実的に作られているものもありますが、幾何学的に抽象化された文様が大半です。
それぞれ隠された意味があり、織り手である女性の恋愛、結婚、出産から家族の安泰、幸福への願いなど数多くあります。
その形から見て、隠された意味を探ってみましょう。詳しくはこちら

当社の名品の一部

当社の名品をご紹介しています。
詳しくはこちら

メンテナンス

ペルシャ絨毯・キリムは、靴を履いたままで、家の中ですごす欧米式生活様式にも耐えられる作りですが、玄関で履物を脱いで生活するような日本の生活様式ですと、想像するほど、痛んだり汚れたりはしないものです。ただ、日頃からのお手入れによって、何代にも受け継ぐことができるほど長持ちします。ペルシャ絨毯・キリムのクリーニング・メンテナンスについて、詳しくはこちら